ホテルのお部屋を選ぶ際、「部屋の種類が多くて迷ってしまう」「名前だけではどう違うのかわからない」と感じたことがある方も多いのではないでしょうか。ホテルのお部屋には様々な種類や名前がありますが、カタカナ表記が並んでいて理解が難しい場合もありますよね。
この記事では、ホテルの部屋タイプごとの違いやグレード(ランク)の考え方などを解説いたします。利用人数や目的に合わせた適切なお部屋を選ぶ際の参考になればと思います。
ホテルのお部屋を選ぶ際には、まず、だいたいのご予算と、宿泊人数は決まっているかと思います。そのうえで、どのお部屋を選ぶかは、プラン名称だけでなく、次の3つのポイントをチェックしましょう。
①ベッドの大きさと数
②定員
③お部屋の広さ
①は、シングル、ツイン、ダブルなどに分かれる部屋タイプの基準になります。
②は、エキストラベッドやソファベッドなど、ベッドの数に対して、追加で何人泊まれるかがわかります。
③は、②にも影響しますが、宿泊することがメインで滞在時間が短い場合やベッドの上で過ごしても気にならないという方はそこまで広くなくても問題なく、逆にお部屋でくつろいで過ごしたい、ベッド以外にもくつろぐスペースが欲しいという場合は、広めのお部屋をセレクトする必要があります。
一室に何人で泊まりたいのか、お二人で1台のベッドで良いのか、それぞれベッドが必要なのか、お子様連れか、お部屋で長い時間を過ごしたいのかなどを考えて、上記の3つのポイントをチェックします。
画像にあるように、予約される際にサイト上の表記で確認できます。お電話で予約する際は担当者に確認することをおすすめします。
加えて、バスルームは浴槽があるのか、シャワーのみなのかなどのお部屋の構造・設備や、Wi-Fi回線の有無、サービス・アメニティは何がついているのか、さらにはお部屋からの眺望や、お部屋の雰囲気が希望にマッチしているのかなど、目的やお好みによっても確認すべきポイントは増えていきます。
お部屋の「プレミアム」「デラックス」などのグレードをイメージするような名称の付け方は、ホテルやホテルブランドによって実に様々です。基本的には「スタンダート」と呼ばれるお部屋がそのホテルの標準的なレベルのお部屋を意味しますが、ホテルによっては「スタンダード」とうい名称を使わないところもあります。例えば、インターコンチネンタルホテルのスタンダードルームは「クラシック」という名がついています。
そのためお部屋の名称だけでは、そのお部屋がどんなお部屋なのかを想像するのは難しいのではないかと思います。次にご紹介する、部屋タイプと宿泊人数別のお部屋の考え方を知っておくと、お部屋選びの際の一助になるかもしれませんので、具体的に見ていきましょう。
基本の部屋タイプは、大きく分けて「シングル」「ツイン」「ダブル」の3つあります。主にベッドサイズや数で分類されており、これらの部屋タイプの特徴を理解しておくと、お部屋選びのときに役立つかもしれません。宿泊人数が肝となる部分もありますが、お子様の場合、大人同様に1名としてカウントするかどうかはお子様の年齢で決まることが多いです。その年齢の設定はホテルによって異なりますので、オンライン予約画面やホテルサイトにて確認するとよいでしょう。また、家族プランやお子様料金が適用される場合もあるため、該当するプランがあるかも確認しておくことがおすすめです。
シングルルームは、
1名用のベッドが1台置かれているお部屋です。ベッドはシングルサイズのほか、日本独自の規格であるセミダブルサイズの場合もあります。
利用人数は基本的に1名ですが、セミダブルであれば2名での宿泊が可能なお部屋もあります。
なお、中には「2シングル」などと表記されているお部屋もありますが、この場合は1名用のベッドが2台設置されていることを表し、後ほどご説明する「ツインルーム」と等しい意味となります。
※シングルベッドのサイズ:幅100-120cm程度
※セミダブルベッドのサイズ:幅120-140cm程度
ダブルルームは、2名で利用できるベッドが1台置かれているお部屋です。ベッドはダブルサイズのほか、クイーンサイズやキングサイズの場合もあります。「クイーンルーム」や「キングルーム」など、ベッドサイズがお部屋の名称に反映されているケースも多いため、こちらもぜひ参考にしてください。
基本的には2名利用できるお部屋ですが、ひとりでベッドをゆったりと使用したい場合などは、シングルルームではなくダブルルームを選ぶとよいでしょう。
※ダブルベッドのサイズ:幅140-160cm程度
※クイーンベッドのサイズ:幅160-180cm程度
※キングベッドのサイズ:幅180-200cm程度
ツインルームは、基本的にはシングルベッドが2台置かれているお部屋です。ツインルームとダブルルームの違いは、ベッドの台数とサイズが異なるところにあります。ツインルームではシングルサイズのベッド以外にもクイーンサイズのベッドが2台など、お部屋が広くなるにつれておのずとより大きなベッドが置かれることもあります。
中には「ハリウッドツインルーム」という名称のお部屋もありますが、これはベッドサイズがシングルよりも大きいことを意味しているわけではありません。通常のツインルームでは2台のベッド間にサイドテーブルが置かれていますが、ハリウッドツインルームでは2台のベッド間にサイドテーブルなどがなく、ベッド同士が密着していることを表します。
なお、ツインルームは基本的には2名での宿泊を想定してつくられていますが、*シングルユースも可能です。ひとりで広々とお部屋を利用したい場合などは、シングルルームではなくツインルームを選ぶとよいでしょう。
*シングルユース:2名以上用のお部屋を1名で使用すること
3人で同じお部屋に泊まりたいときは、基本的にはツインルームかダブルルームにエキストラベッドを入れる、もしくはソファベッドが利用可能なお部屋を選ぶのが一般的です。ただ、3人目がお子様か大人かによっても状況が変わります。
たとえば大人2名+お子様1名で宿泊する場合、お子様の年齢によってはエキストラベッドを入れたりすることなく、ダブルルームやツインルームでの3名同室宿泊が可能です。一般的には、オンライン予約画面にてお子様の年齢を入力する箇所がありますので、正しい年齢を入力すれば添い寝可能かどうかが分かり、エキストラベッドを追加したりすることなく3名同室宿泊ができるかも明らかになります。
一方、大人3名同室で宿泊する場合は、ホテルによっては常設ベッドが3台ある「トリプルルーム」もありますが、基本的には前述した通り、エキストラベッドを入れる、もしくはソファベッドが利用可能なお部屋を選ぶ必要があります。一般的にはホテルサイトやオンライン予約画面にて、お部屋の定員が3名以上で表記されていれば、3名で利用することができます。予約の際には、お部屋の定員が何人までかを確認しておくとよいでしょう。
※エキストラベッド:簡易ベッド
※ソファベッド:ソファを変形させてベッドとして使用するもの
首都圏で4名以上宿泊可能なお部屋を見つけるのは難しいかもしれませんが、コネクティングルームなどで対応できるホテルもあります。
コネクティングルームとは、隣接するお部屋の壁に設置されたドアを開放することによって、内部で行き来できるタイプのお部屋です。ただ、ホテルの構造上利用不可能な場合もあります。プランとして公開しているホテルは多くないものの、リクエストベースで対応可能な場合もあるため、まずはホテルへ確認してみてください。
また、コネクティングルームが難しい場合でも、事前にホテルへ相談することで、2部屋を同じフロアにできる場合もあります。
一方、地方のホテルは敷地面積が広いところもあり、大人数で泊まれるお部屋が備わっているケースもあります。
たとえば石垣島にあるホテル、「ANAインターコンチネンタル石垣リゾート」のツインルームは、バンクベッド(2段ベッド)を加えて4人部屋、さらにソファをベッドに転換することで5名まで宿泊することができます。1部屋50平米という、リゾート地ホテルならではの贅沢なゆとりが魅力です。
ホテルのお部屋には、先述した「シングル」「ダブル」「ツイン」などに加え、「スタンダード」「スーペリア」「デラックス」などといった名称がつけられていることがあります。これらの名称の付け方は、ホテルチェーンやブランド、あるいはホテル単体ごとにかなり異なります。例えば、同じ「デラックスルーム」でも、異なるホテル同士を比較してみると、まったくイメージが違うことがあります。このようなことから、何を基準にお部屋を選べばいいのか、より難しくなりますよね。
多くの場合、「スタンダード」がそのホテルの標準レベルのお部屋を指します。そして、お部屋の広さや設備、階層、サービス内容の充実度などが増すごとに、宿泊料金も高額になっていきます。
ここでは、あくまでもひとつの分類例として、グレードをイメージする上での参考にしていただければと思います。
スタンダードルームは、そのホテルの標準的なお部屋です。ホテル自体のランクによって基準は変わってくるので、あくまでもそのホテルの標準となるお部屋であることには注意が必要です。中には、「スタンダード」ではなく、他の名称で呼ばれていることもあります。また、ホテルによっては「エコノミー」というスタンダードよりもコンパクトなお部屋があり、宿泊料金もさらにお手頃なこともあります。
宿泊するのに必要なお部屋の広さと設備が整っていれば問題ないという方は、スタンダードやエコノミーを選ぶとよいでしょう。ホテルでの滞在時間が少ない場合や、宿泊料金を抑えたい場合などにもおすすめです。
モデレートルームやスーペリアルームは、いずれも基本的にはスタンダードルームのワンランク上に位置づけられるお部屋であることが多いです。モデレート(Moderate)は「適度な」、スーペリア(Superior)は「上位の」といった意味がありますが、どちらが上のグレードなのか、またスタンダードとの違いは何かといった点はホテルによって異なります。具体的なポイントとしては、スタンダードよりもお部屋が広い、アメニティや常設インテリアが充実するなどが参考として挙げられます。
スタンダードではお部屋の広さや設備が少しもの足りない場合は、モデレートやスーペリアを選ぶとよいでしょう。サービス内容に+αの要素を加えたい方にもおすすめです。
デラックスやプレミアム、グランドルームは、モデレートやスーペリアルームよりも、もう1ランク上のお部屋であることが多いようです。よりお部屋が広かったり、階層、アメニティやインテリアの充実度の違いが参考として挙げられます。よりお部屋が広くなることでゆったりと過ごすことができ、より高階層になることでお部屋からの眺望もより良くなることでしょう。
誕生日や記念日のお祝い事などの際は、こちらのカテゴリーから探してみるといいかもしれません。より良い眺望やこだわりの設備で滞在時間を充実させたい場合や、ひとりで少し贅沢な時間を過ごしたい方にもおすすめです。
「スイートルーム」と聞くと、グレードの高いお部屋のことを指しているのではないかと思う方も多くいるのではないでしょうか。
一般的に、スイートルームはベッドルーム(寝室)とパーラールーム(リビングスペース)で構成されています。スイートルームの「スイート」には、「sweat(甘い)」ではなく「suite(ひと続き)」という意味があり、ベッドルームとパーラールームがひと続きとなっている、その構造が由来なのです。そのため、厳密にはグレードの一種ではなく、「シングル」「ダブル」「ツイン」のように部屋タイプのカテゴリーに属しています。
このような構造から、必然的に広い面積、それゆえにそのホテル内で最も高価なお部屋となることが多いのです。また、そのホテル内で一番良い場所に位置していることが多く、それは高層階であることが多いです。そのホテルの最上級サービスを受けられるため、特別なひとときを過ごしたい方におすすめです。また、ベッドルームとパーラールームを仕切れるため、商談などのビジネスシーンや訪問客をお迎えする場としても最適です。
ジュニアスイートルームは、ベッドルーム(寝室)とパーラールーム(リビングスペース)が完全には分かれていないお部屋です。スイートルームとの違いは、両者のスペースを完全に分けることができるかにあります。ジュニアスイートルームは、両者を完全には独立できない構造であるため、スイートルームよりもやや小型となることが多いです。スイートルームよりも小型ではあるものの、ベッドルームとパーラールームを隔てる間仕切りがないことで、広々とした開放感は得ることができます。
ジュニアスイートは、ホテルによっては「セミスイート」という名称の場合もあります。
ラグジュアリーなホテルステイを楽しみたい方や、記念日などでいつもよりワンランク上の体験をしてみたい方、スイートよりも少しコストを抑えて宿泊したい方にもおすすめです。
クラブルームとは、クラブアクセスがついたお部屋であるケースが多いです。クラブアクセスとは、主にクラブルームの宿泊者やホテルのロイヤリティプログラムの上級会員限定で利用できる専用ラウンジ(クラブラウンジ)に出入りできることを指します。「クラブ」という名称はお部屋単位でつけられることもあれば、「クラブフロア」といった専用フロアごと、はたまた専用棟ごとであるケースもありますが、多くの場合は特別客室として上層階に位置しています。また、「クラブ」の他にも「エグゼクティブ」などという名称がつけられているホテルもあります。
クラブラウンジ内の専用レセプションでのチェックイン・チェックアウトができたり、限定朝食やアフタヌーンティーを楽しんだり、ディナータイムの前にはカクテルやスナックが提供されたりと、様々なサービスが魅力です。
たとえば、最近、客室をリニューアルした「ANAインターコンチネンタルホテル東京」では、これらのサービスの他にもクリーニングや印刷サービスをはじめ、靴磨きや秘書サービスなど、ビジネスにもプライベートにも余裕を持たせるサービスを受けることができます。パーソナルで細やかなサービスを希望する方は、クラブアクセスつきのクラブルームを選ぶとよいでしょう。
これまでご紹介したような、お部屋のタイプやグレードをイメージする名前のほかにも、ホテルのお部屋につけられる名称は様々です。
たとえば、「シティビューダブル」や「プレミアムオーシャンビュー」、「ハーバービュースイート」など、お部屋から望める景色にちなんだ名称も多くあります。
また、あらゆる方の利用を想定した「ユニーバーサルルーム」というお部屋もあります。車椅子を使用される方や、視覚・聴覚が不自由な方にも利用しやすい構造のほか、高齢の方や外国籍の方にも情報が伝わりやすい仕組みとなっており、「アクセシブルルーム」や「バリアフリールーム」と呼ばれる場合もあります。
このように、ホテルのお部屋の名称は様々であり、ホテルによって名前の付け方は異なります。今回ご紹介した部屋タイプや宿泊人数別の泊まり方、グレードの考え方などが、今後のお部屋選びの際の一助になれば幸いです。宿泊人数や目的に合わせて適切なお部屋を見つけてくださいね。